大学の教員・職員へのみち

医療系大学の人事が見た教員・職員になれる人、なれない人

医療系における大学と専門職大学

専門職大学が始まる。これから設置審査が始まるが13校の大学新設の予定で、うち9校が医療・福祉系という。

 

制度の趣旨から、専門学校の4年制への移行を促す仕組みと考えていたが、実際にそうした動きになっている。

一方で専門職大学を目指さずに、あくまでも既存の4年制大学を目指す動きもある。

 

両者の違いは設置基準で、従来型の大学の設置基準と専門職大学の設置基準は違う。それに伴って、学位も異なる。前者は「学士」だが、後者は「学士(専門職)」となる。

 

学位が似ているけれども、非なるもの、というあたりが将来的に社会にどう受け止められるのかは不明だが、現時点での予想は、大学>専門職大学というステータスになるのではないかと考えている。

「大学」という名称がついているが、似て非なるもの、である。

 

似て非なる先行事例として「専門職」で先行した専門職大学院がある。例えば通称ロースクールで知られる法科大学院の場合、修了すると与えられる学位は「博士(専門職)」となる。

一見、他の博士号と同じく見えるが、内容は全然異なる。最大の違いは、論文審査がない。つまり、博士論文を書かないのである。

論文を書かないで与えられる博士号には、大学関係者なら違和感を覚えるはずである。文科省も博士課程の院生は研究者と見なしている(各種補助金でもそのことが分かる)ので、論文を書かない=研究をしないで与えられる博士号とは一体なんなのか?と思うわけである。

そのため、「博士」とは名がつくものの、実質は修士相当とみなすのが妥当な学位である。

似て非なる場合、こうした大きな違いがある場合があり得る。つまり、専門職大学の学位「学位(専門職)」も同じように、実質は学士よりワンランク下と看做されかねないということである。

 

教員審査も専門学校よりは厳しいが、大学よりは優しいという印象である。実務家教員を4割以上配置する必要があるということなので、研究業績は大学ほど重視していないということになる。

極端なことを言えば、100%実務家教員でいいわけで、臨床一筋の人を引っ張ってくれば良い。

となると、医療系の専門職大学の設置は楽勝というのが印象である。

 

リハ系のPT、OT、STは修士以上の学位取得者が多く、博士取得者も多い。研究業績を重視しないのであれば、楽勝領域である。この領域で設置審査に落ちるようなことがあったら、よほど間抜けな事務局が仕切っているとしか思えない。看護も学位取得者が急増しているので、こちらも簡単。

「大学」の名のつくところの教員になりたいなら、専門職大学はとてもオススメである。

 

一点注意。専門職大学と大学は似ているが、別物であるので、別物であることを説明してくれる学校法人に就職する事をオススメする。

両者が全く同じだと説明されたなら、その学校法人は辞退したほうがいい。詐欺まがいか、制度を理解していない素人集団かであり、いずれにしても関わらないのが人生のためである。